フルーツ(きっと魔法のトンネルの先)

友達と東京大学駒場キャンパスから原宿、原宿から下北沢の珉亭に行き、小沢健二の『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』の再現をするという約束があった。椎名林檎のファンが百道浜室見川に行ったり、ユーミンのファンが調布基地の先で右の競馬場と左のビール工場を見たりするのと同じです。andymoriのファンでバグダッドに行った人がいたらちょっとすごい。カオサン通りはみんな行ってる。

 

この日は駒場に行く前に本郷に寄る用事があったので、本当に東大生になれたような気分だった。本郷から駒場に行くのは乗り換えが複数回あって時間もかかるので割りと疲れる。駒バックはけっこう大変である。

東京大学の学部生の多くは1年次、2年次を教養学部のある駒場キャンパスで過ごし、3年次以降は本郷キャンパスか弥生キャンパスに移るが、教養学部時代に必修の単位を取り損ねた学生が本郷(弥生)の学部に通いながら駒場キャンパスの授業に出席することを駒バックと言う。今年の春におそらく体育会に入っている東大生が「駒バック」と言っているのを聞いて「本当に使うんだ」と思った記憶がある。

自分が卒業した関西学院大学には独自の用語はなかったけど、「三田キャンパス(サブキャンパス。私が通った。)の学生が西宮キャンパス(メインキャンパス。みんなが通う。)に行くと歩き方でバレる」と言われていた。立教大学ではイチョウが散るまでに恋人ができなかった1年生は卒業まで恋人ができないと先輩から教えられるらしい。これはちょっとベタすぎる。

 

全然関係ないが、自分は東大生と他大学の学生を喋り方で見分けられると思っている。会話の内容ではなく、声の大きさと抑揚でわかる。本当です。

なお、武蔵美生は口の開き方で見分けられる。これも本当です。

 

駒場に行ったのはこの日が2回目だったけど、特に図書館の雰囲気は本郷と全く違っていて同じ大学とは思えない。駒場図書館がコンクリート造りで現代っぽく、中もさっぱりしていて明るくて機能的な感じがする一方で、本郷の中央図書館はレンガ建てで、床や柱は石で机は木製、赤いカーペットが敷かれていて薄暗い。駒場を「磨かれている」としたら本郷は「染み付いている」。

 

駒場図書館前で友達と待ち合わせをして、原宿まで歩いた。友達は原宿の専門学校でグラフィックデザインの勉強をしていたので「駒場図書館を後に君が絵を描く原宿へ行く」は友達が通っていた専門学校に行くことで達成できるということで合意した。厳密に言うとグラフィックデザインは絵ではないらしいけど自分も外部からの進学で駒場には通っていないので、ジェネリックアルペジオとしてちょうどいいバランスなのではないかと思った。黒染めが色落ちしたという話をしたら「私も最近茶色くなってきた」と言われたが、色落ちとかそういうレベルではなくめちゃくちゃ茶色だったので笑ってしまった。

 

原宿まで歩きながら色々なことを話したけど主に恋愛の話をしていた。2人とも自分に対して興味のない人に対して好意を抱く傾向があったので、そういう話をした。デート中に公園の池の鯉を素手で触る女の子が好きだったという話をしたり、自分の話を全く聞いていない男が好きだったという話を聞いたりした。付き合う前は自分に関心がないような振る舞いをするのにいざ付き合うと自分のことをすごく見てくる人がいて困る、というのはみんな経験しているものなのだとわかった。こういう話を他人にしてもわかってもらえないことがあり、特に興味がないことと好意がないことの違いを全然わかってくれない人がいる。全然違います。

昔の彼氏(か好きだった人)に借りた本をまだ返していなくて「縁を切りたいから早く本を返したい」と男に言ったら「縁切るの!?」と言われたという話を聞いた。別れた人との縁は自分も切りたい。最近別の友達は元カレに会って今男と一緒に住んでいることと色んな男と寝まくっていることを教えて脳を破壊したらしいので、やはり縁は切っておいたほうがいい。

 

原宿で友達が通っていた専門学校を見た後、渋谷まで歩き、井の頭線で下北沢に行った。元々好きだった2組のアーティストが同じライブに出る(バンドを組んだ?)ので非常に嬉しく楽しみだという話を聞いた。こちらは諭吉佳作/menの名前が好きだという話をした。大学の同級生にクサカマリアという子がいて、名前を逆から読んだ「ありまかさく」をペンネームとして使っているのが羨ましいと思っていたので佳作という名前に対して憧れがある。前回のブログに書いた52個の名前案の中にも佳作が入っている(32個目)。

 

珉亭で食事をしたあと、本多劇場ヴィレッジヴァンガードに行った。ここのヴィレヴァンに来るといつも体調が悪くなるらしく、行くのやめなよと思った。村上春樹のコーナーに「小説界の重鎮」とヴィレヴァンのフォントで書かれたPOPがあった。店内ではぐれたので友達が電話をかけてきたのだけど、自分はライン電話の呼び出し音を電気グルーヴに変えているので「あの曲なに」と言われた。いちご娘のひとりっ子です。後日友達から「今から電話するけど出ないで」というメッセージとともに着信が来たので普通に出てみたら「出るなよ」と言われた。呼び出し音を別の曲に変えてよと言われたので、顔変わっちゃってる。に変えた。

 

ヴィレヴァンの後はカラオケに行って小沢健二縛りで歌った。1曲目はアルペジオで、最後もアルペジオだった。カラオケが古い機種で薫る(労働と学業)が入っていなかった。あの曲は景気が良い感じがしてすごく好きなので残念だった。聞いてみてね。今年リリースのラブリーのショートバージョンと春にして君を想うのリマスターは入っていたのに、今夜はブギー・バックはスムースラップ版とナイスボーカル版しか入っていなくて、これは変すぎてちょっと面白かったです。

 

♪♪♪

 

駒場図書館をあとに

 

 

君が絵を描く原宿へ行く



しばし君は

 

消費する僕と



消費される僕をからかう

 

♪♪♪